漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

懺悔

 

 

ごめんなさい

私は奪ってしまった

あなたとあの子と一緒に暮らす未来を

私自身のために

その未来を蔑ろにした

ただその時を生き抜くためだけに

無意味な時間を過ごすためだけに

本当にごめんなさい

あなたはそれを責めないでしょう

あなたは優しいもの

でも本当は叱ってほしかった

どうしてちゃんと見ていなかったのかと

あなたの涙を見て何も言えなかった

知らなかった

私はあなたを傷つけた

私はあなたの人生にいるあの子を奪ったんだ

尚更何も言えなかった

大丈夫なふりしてまた今を生きる

そしてひとりで泣く

本当はもっとあなたに縋りたかったのに

結局言えなかった

それでも

あの時のキスは気持ち良かった

今まででいちばん

セックスも

あの子の遺体を横目に求め合った

訳がわからないくらい

どうにもならない思いをぶつけ合った

そして疲れて眠った

心も体もひとつになった

あの時がいちばん

あの子の死を捧げて

嗚呼

最低

私は最低だ

でも

あなたも共犯よ

もちろん責めることはできない

それもわかってる

だって

罪悪感が誘惑する

いけないことを

いけないときに

いちばんしたくなるんだ

自制心を破った時が

いちばん気持ちいい

最低だ

ねえ

あなたはどう思ってるの?

本当はあなただってそうなんでしょう?

私たちは最悪だ

あの子は静かに眠っている

何も知らずに

何も言えずに

あの声を

私はもう聞けない

聞いていられない

堪らなくなる

どうしようもないくらい

私を罰してくれと

そう願うけど

どうしたってしあわせな未来がやってくる

怖いくらいに

どうして?

どうしてこんな私に

私は何もしてない

何の努力もしてない

それなのに

 

やっぱりひとりはだめみたい

早く寝なくちゃ