漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

美を術る

 

芸術

それは美しい

それは世界の本質を顕している

芸術家は媒介者である

世界の本質を捉えて表現する

その芸術家にしか捉えることのできない美を

そうして世に世界の美しさを魅せている

私たちに魅せてくれる

芸術家は努力する

皆のためでなく

ただただ自らのために

その恩恵を私たちは受けている

ああなんて素晴らしいのか

あなたたちは美しい

あなたたちは世界の一部になった

その生き様を惜しみなく魅せてくれ

私をどうか連れていってくれ

世界は美しいと教えてくれた

私にもちゃんと見えています

けれど

私には成す術がない

私にも何かできやしないでしょうか

ああどうか

教えてください

私はあなたたちにはなれない

それでもどうか

どうか

誰か私を見て

私は

私はこんなにも苦しみ悲しんでいる

喜び憤っている

あなたたちの苦しみを悲しみを喜びを怒りを

こんなにも感じている

私が感じられるのはほんの一部

すべてはわからない

それでいい

それしかできない

それでもこの想いはどうしたらいいの

あなたたちへの想いを

あなたたちのようにはいかない

それを形作る術がないの

吐き出せずただ溜まっていく

私にできることは少しの言葉にのせることだけ

誰に届くわけでもない

手紙にもならない

遺書にもならない

この電気信号が途切れたらそれで終わり

何にもならない

それでも

ああどうか

伝わってくれ

私が消えてしまう