漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

夢を見た あなたの夢を 夢にみるのは初めてだった あんなに焦がれていたのに 初めてだった ふとあなたの声がして 振り返ったらあなたがいた いつもの通り 白い身体をしならせて 私に呼びかける 思わず撫でる 滑らかな毛並み いつもの通り どうしてと なぜい…

還る

細胞膜という境界を創った瞬間から 生物は孤独となった 境界があるから いや 生き物だけではないかもしれないね 無生物 化学物質 粒子 宇宙でさえも 境界という定義がある そうであるならば この世は生まれた瞬間から孤独である あの世で愛しいあの人に会え…

不要

可哀想なんて言葉は嫌い 私にその言葉を使わないで あなたの価値観を押しつけないで 私は不幸ではない 私は私の意思でこの道を選んでいる それをあなたの色目で否定しないで そんなこと到底できるわけないでしょう 少し考えればわかること 何か不快なことが…

大いなる者

人の想像力を超えて生きなさい 確かにそうだ 私は理解されたい訳ではない あなたには私を理解できないでしょう 私にもできません 人は理解のできないものを否定したがる 新しいことをして評価されるためには 人々の想像の範囲内で組み立てなければならない …

歯車

体の不調 というよりは 体の不具合 と言った方が正しいか 自律神経系 ホルモン動態 思えば薬を飲み始めた頃から 私の体は恒常的に働いてくれていたのに それを崩してしまった ひとつ歯車が狂ったら 他もどんどん狂っていく 精神でさえも それでも動かなくな…

学び

劣る 劣るとは? 老いること? 体は老いるが 精神は育っている 絶えず育っている 微かに朽ちてはいるが 太く確かに育っている 私は今がいい たとえあの頃の私より劣る部分があったとしても 今の私がいい 今を生きるために必要なものは今ちゃんと持ち合わせて…

支配者

嫌いなすべてを排除する そして清く正しい世界を そんなことを言う人がいる 彼らはきっと酷く傷つけられてきた 深く深く愛するものがあるから それが傷つけられることに耐えられない だから傷つけるものを排除する 己れが心地好く生きるために 少しはわかる…

精神と境

孤独はある 孤独からは逃れられない そこに境界があるから しかし精神は交差する そこに境界はない 肉体に付随するが肉体の境が精神の境ではない 言葉を介さずとも相手の気持ちがわかる 阿吽の呼吸 胸騒ぎ 虫の知らせ 傍割れ それらに距離は関係ない それら…

努力

世界は乖離する 本当にいいものとは その良さをわかる人はわずかである 大衆にはわからない そうして少し離れたところにある ありふれたものよりも称賛されるべきものは ほぼないものと同じ 人も同じ 本当の人格者とは 声を張らない ただ存在し求められれば…

永遠を望むのは人の傲慢 終わりがあるからいいのに 終わりがあるから美しいのに きっと世界だって永遠ではない いずれなくなり無に還る 永久を作り出したらそれこそ神にふれる行いだろう そうしたらどれほどの罰を受けるだろうか 罪深い そんな人たちがいる…

屈曲

この世界のすべてを 言葉で表すことなどできない そうだろう 人間などこの地球に生息する一生物にすぎない それが生み出したほんの小道具ですべて言い表そうなどと驕りにも程がある 現にほら ちゃんと見て あなただって今 まさに言葉が出てこないじゃない こ…