漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

生活

決意

きっと私はやめないでしょう 誇りを持ちましたので 日本の文化 唯一の文化 永年の努力の証 讃えないのは勿体無い それ故に 私は恥ずかしい 自信もって名乗れない このままでは 全然だめだ だから 私はやめない 誇りをもって名乗れるまでは こんなこと言って…

ご教授

確かにあなたの言う通りです 私は甘えていました 顔色やタイミングなど言い訳 一緒に決めたかったと言いつつ 決断は人任せ ただ何も考えず待ってただけ 一体いつから思っていたのでしょうか よく見ていますね私のことを 私の悪いところをずばりと言い当てま…

塵箱

今まで考えてきたことが今の自分の人格を形成している。 だが考えていることなど刻一刻と変わりゆくもの。先程まで考えていたことなどすぐに忘れ去られる。 ふいに思い出すような大事だと思えるものもあれば、そのまま忘れ去られるような他愛の無いものもあ…

心-身

傍にいるとき、生理は重い。 今まで痛みなど感じことがないくらいだったのに。だるい。鈍い痛み。 身体が必要としている。 心よりも素直な身体。 子宮の収縮。感じる痛み。 生理が来なくなった。 痩せたから。 それだけじゃない。 会ってないから。 必要とさ…

性質

転んだ 膝を擦りむいた 痛い 涙が出る 誰のせい? 自分のせい 他の誰のせいでもない 自分で躓いた あの頃の記憶 ほぼないに等しい記憶 それなのに 今の私と変わらない 今私が何か不幸を被ったとして それは誰のせいでもない 誰かの何かが少し作用して 私の不…

中身

お部屋の中は心の中 好きなものも必要なものも要らないものも 嫌いなものも忘れたものもすべてある 今私が死んだなら 事故か事件か そうでなくても誰かはこの部屋に入ってくる 私の心の中へ そうして私のあれやこれやを 誰にも見せたくないものでさえ 無粋な…

夕暮に惑う

私の生家のトイレ。 そこはいつも夕暮である。 居間から納戸と硝子窓を隔てた長い廊下を通る。常に開け放しの木戸を越して右に見えるのは、片面が硝子窓で照らされた短い廊下、その突き当たり、そこがこの家のトイレだ。 如何にもといった女子と男子とがそれ…

生命線

電信柱が並んでいる 電線は繋がっている どこまでもどこまでも 繋がって電気を届けている 漏れながらも必死で届けている どこまでもどこまでも 人の住むところまで 決して洗練はされていない けれどその立ち姿は美しい 必要なものを 必要な分だけ 余計なもの…

日常

顔がかわる 私がかわる そうね 私はどんどんかわってる あの日の私はもういない 近づくこともあるけれど 同じ私はいない でも それはあなたにはわからない けれど あなたも少しずつかわっている それだけはわかる それでいい それが日常

創傷

誰も傷つかない世界に そんなもの糞食らえ 傷つけ傷つき 血を流しながら生きていく そうでしょう 傷つかない世界などつまらない 人生傷ついてなんぼ 忖度など洒落臭い ほらあなたもこちらへ来なさい 血濡れた手で楽しみましょう それでこそ真っ当よ

塩の音

あなたの歌は美しい 世界を愛しているが故 喜びも悲しみもすべて受け入れ 儚くも気高く立ち尽くす あなたの歌声は言葉は 私の傷を優しく塩水に浸している 私はその声を聴きながら 静かに眼を閉じる そして身体中に沁みている痛みを 余すことなく感じる 何ひ…

大罪

私はいったいこの人生でどれほどの罪を犯してきただろうか 無神経な言葉 無知故の配慮のない言葉 未熟故の感情のままの言葉 思わず吐いて出た固定概念塗れの言葉 身を守るための嘘 熟考したが故の誤ち どれも意図して犯したものじゃない そんなつもりじゃな…

不機嫌

不機嫌なのね でも言わせてもらうわ あなたがどうしたいのか 私にどうしてほしいのか それを言わずに 伝える努力もしないで そんな不遜な態度とるなんて ただの怠慢よ 大人なんだから 人に機嫌を取らせないで 自分で取りなさい 私がいつまでも下手に出ると思…

生理のせい

私は不安である 漸くあなたとの生活が目前にある今 あなたのその態度が怖い 無視無言 私の言葉は素通り 聴こえているのに なかったことになる 何も言えなくなる 喉が詰まる 私が悪かったのでしょう 私がもたもたしているから あなたの適したときに適した動き…

夢を見た あなたの夢を 夢にみるのは初めてだった あんなに焦がれていたのに 初めてだった ふとあなたの声がして 振り返ったらあなたがいた いつもの通り 白い身体をしならせて 私に呼びかける 思わず撫でる 滑らかな毛並み いつもの通り どうしてと なぜい…

不要

可哀想なんて言葉は嫌い 私にその言葉を使わないで あなたの価値観を押しつけないで 私は不幸ではない 私は私の意思でこの道を選んでいる それをあなたの色目で否定しないで そんなこと到底できるわけないでしょう 少し考えればわかること 何か不快なことが…

歯車

体の不調 というよりは 体の不具合 と言った方が正しいか 自律神経系 ホルモン動態 思えば薬を飲み始めた頃から 私の体は恒常的に働いてくれていたのに それを崩してしまった ひとつ歯車が狂ったら 他もどんどん狂っていく 精神でさえも それでも動かなくな…

屈曲

この世界のすべてを 言葉で表すことなどできない そうだろう 人間などこの地球に生息する一生物にすぎない それが生み出したほんの小道具ですべて言い表そうなどと驕りにも程がある 現にほら ちゃんと見て あなただって今 まさに言葉が出てこないじゃない こ…

さようなら

私はやめる 結果的に見捨てることになるのはわかってる きっとこの罪悪感は消えない でもね その罪悪感を背負ってもいいと思えるほど もう今の生活には耐えられない あの子がいなくなってから 孤独に今まで生きている なんの向上心もなくただ生きている これ…

みんな私のこと好きすぎる

みんな私のこと好きすぎるでしょ こっちへ来てくれ あっちへ来てくれ そんなに言われたって無理よ 私はひとりしかいないの すべてできるわけないじゃない 私はやりたいことをやりたいだけなのに お願い放っておいて そんな顔しないで それは私にとって脅迫と…

要求

こんな日が来るなんて あなたの声を鬱陶しく思ってしまった 有り得ないことだと思っていた 今まで仕事や生活に擦り切れたときは もちろんあの子の要求から逃避したときも あなただけが救いだった あなたの声を聞けば元気が出た あなたさえいればよかった そ…

懺悔

ごめんなさい 私は奪ってしまった あなたとあの子と一緒に暮らす未来を 私自身のために その未来を蔑ろにした ただその時を生き抜くためだけに 無意味な時間を過ごすためだけに 本当にごめんなさい あなたはそれを責めないでしょう あなたは優しいもの でも…

終わらない

あちこち行って楽しんで 着々としあわせな未来へ進んでいる 笑って過ごして あなたに使う時間を割くことなく 気楽に休んで楽しんでいる それがとても悲しい もう慣れたような気がしていたけど そういう訳でもないみたい 空しいね こんな時間を得るためにあな…

情報

私はひとより得られる情報が多いようだ ひとつのことからたくさん あれもこれも ひとつも溢したくはない よくわかる でももっと欲してしまうと駄目になる あれもこれも 情報が多すぎる 多すぎると脳が処理しきれない どんどん溢れてしまう 嗚呼 待っていかな…

最高峰

ビルケナウ 複製画の前に惑わされ 黒い鏡の前に立ちすくみ 本物の前に喉が詰まる そして塗り潰された写真の前に涙する どうして? どうしてこんな絵が描けるの 暖かな雪解けが壊される 叫び声が聴こえる 血が流れる そうして混沌の中へと誘われる 怒りでもな…

私は人を殺そうとしていた 名前もわからない人を 己れの人生を害する者だと信じ 存在ごと消さねば我が道をいけないと そう信じ 自殺に見せかけて もし殺人と疑われたとしても 血の繋がらない兄妹へと疑いが向くように 虎視眈々と 実行へと移そうとしていた …

よく生きる

俗世から離れて生きたい けれど浮世に美しいものもたくさんある それを楽しみたいとも思う 私欲深いの 欲に塗れて聖人になど成れはしないのにね だからね 私の愛する人が浮世との架け橋 あの人の愛するものはどれも尊い それを少しばかり分けてほしいの 私は…

乖離

何もかもわかっている これまで生きてきたことで だいたいの答えはわかっている 聞き飽きているんだ 誰に聞かずとも 愚痴らずとも そう 悩んだとしても 最善の策はすぐにわかる でもね 頭ではわかっているのに そう上手くはいかないもの 心はそれに従えない…

金木犀

この季節になるとふと気づけばあなたが馨ってくる その甘い馨りに誰もが誘われ あなたは何処かと求めてしまう 慎ましいあなたに一目見えんと求め彷徨う それなのに いざあなたと一度見えて仕舞えば その馨りはいつの間にか消え失せる あなたをもっと感じたか…

全部あげる

私は許容する 様々な価値観 様々な考え方 様々な生き方を 私は想像する それらが成り立つまでにあった 事実を 挫折を 情熱を だから私は許容する 私は知っている 私は知らない 私は受け入れる 様々な私を それ故に 今 立ち止まっている 何もできない それを…