漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

塩の音

 

 

あなたの歌は美しい

世界を愛しているが故

喜びも悲しみもすべて受け入れ

儚くも気高く立ち尽くす

あなたの歌声は言葉は

私の傷を優しく塩水に浸している

私はその声を聴きながら

静かに眼を閉じる

そして身体中に沁みている痛みを

余すことなく感じる

何ひとつ溢さぬように

そしてゆっくり眼を開けて

美しくも残酷な世界を

ただただ脳裏に焼きつける

私の中にある痛みと

外側から入る痛み

どちらも等しく受け入れて

ふとしたときに涙として排出する

立ち尽くしたまま

あなたの声を聴く

それから眠りに落ちて

また明日は歩き出す

あなたの歌を口遊みながら

おやすみなさい