漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

好意

 

私たちは幸せだ

皆に真っ当と言われるものを好けるので

だから真っ当でいられるのです

不幸ではないでしょう

真っ当ではないものを好いたとしても

密かに想うていれば構わない

けれどどうしようもなく求めて仕舞えば

自身が脅かされる

だって真っ当ではないそうなので

皆が決めたことですから

仕様がない

不幸ではないが苦悩ですね

楽に幸せには成れません

羨望?

いいえ、無知よりは幾らかいいでしょう

私は理解を示したい

どんなものにも

危険は付き物でしょうが

私は私ですから

 

 

 

 

決意

 

きっと私はやめないでしょう

誇りを持ちましたので

日本の文化

唯一の文化

永年の努力の証

讃えないのは勿体無い

それ故に

私は恥ずかしい

自信もって名乗れない

このままでは

全然だめだ

だから

私はやめない

誇りをもって名乗れるまでは

 

こんなこと言ってまた1年後には折れてしまうのでしょうか

それはわかりません

 

 

 

ご教授

 

確かにあなたの言う通りです

私は甘えていました

顔色やタイミングなど言い訳

一緒に決めたかったと言いつつ

決断は人任せ

ただ何も考えず待ってただけ

一体いつから思っていたのでしょうか

よく見ていますね私のことを

私の悪いところをずばりと言い当てました

面倒臭がりの私の悪い癖

どれだけ傷つこうとあなたに教わりたい

あなたが1番よくわかってるから

これからもずっと

黙ってないで言って欲しい

でもそれはわがままですよね

どうしても窺ってしまう

笑って他愛ない話をしていたいから

でもそれじゃ化かし合いで終わり

こんな世界で慰め合って終わり

そんな関係で終わりたくない

もっと深いところで

ずっと深いところで

交わりたい

私だけでしょうか

もっと言葉を交わしたいのです

涙は伴うでしょうけれど

そっと置いて

あの夜のように

私を叱ってください

 

 

 

共犯者

 

男の自殺者の方が女の自殺者より多いのだそうですね

当たり前のことを言わないで下さいますか

これまで男が為してきたことを忘れた訳ではないでしょう

女に対するこの仕打ちを

世界を壊す戦争を起こした事を

それ故に今その罰を受けているのではないのですか

現代の男たちにとっては不憫かもしれませんね

あなたたちの責任ではありませんから

でもね

気がついていないだけで根深く残っているのですよ

深く深く罪が潜んでいる

それ故に今苦しんでいるのでしょう

命を絶てば解放されるとはお思いにならないように

次に生まれ落ちてもその闇は確と追てくる

その罰から逃れる為には皆が努力をしなければ

女の私たちにも幾らか責任はあるのでしょう

さあこの苦しみの世を生き抜く為に

共に歩みましょう

許しとは違いますからね

そこだけは勘違いせぬ様お願いいたします

 

 

赤道

 

一度見失ったものを取り返すには

途方もない時間と努力が必要

遠い遠い原始

ただ生命を維持するために働く時代

多分化せずごくシンプルな精神

世界をただしく畏怖する

それ故に驕らず支え合う

益を理解し素に尊重する

男も女も関係ない

男と女

やはりそこに要素はある

男は大を追いかけ

女は小を積み上げる

種を残す本能故か

生存を賭けたとき

より有利であるのは

女である

一代下への心配りさえ

女が故である

より長生きであるのも女である

それは種を残すが為

生物の本能

繁殖行為のための本能

それ故に美しい

男の性的欲求は

いつしか歪んでしまったようだ

醜い

美しい御人も確かにいる

強者だと勘違いした故だろうか

驕った罰であろう

それは自身で責任を取りなさい

復讐しないだけ良しと思いなさい

女は生命の証

女は繋がりの証

女こそ今の世を作り上げている

それを捻じ曲げているのは男です

混沌を招いているのは男です

戦争こそ男の象徴でしょう

男にはないものがある

でも女にもないものはある

だから繋がるのでしょう

境があるからこそそれがわかるのでしょう

男がいなければ女も驕っているかもしれない

女は少し早く気がつくことができるだけ

何も特別ではない

さあ気づいて

そうしたら争いなど起こらないでしょう

違うからこそわかることがある

あるものがわかる

だからこそ分けたのでしょう

生き抜くための理である

神様というものがいるのであれば

なんとも可笑しく愛おしい

素晴らしい世界を創り上げたものです

流石と言わざるを得ません

孤独を創り上げたのもこれらが故でしょうか

個がなければ何も認知するものがありませんものね

何もない何も成り立たない

混沌の詰まらない世界

それが嫌だったのですか

それ故に境界を創り上げたのですか

でしたら今のこの世をあなたは如何覗っておられるのですか

嘲っているのですか

それともただ愛おしく凝視めているのですか

手出しは無用なのでしょう

ですからこの行先を確と見守りください

如何終わるのかはあなたにもわからないでしょう

そうでしょうとも

私たちは踠きつつただ完ういたしております

行先などいくらでも在ります所以

なんとも面白い世界でしょう

これはあなたのものですよ

だからこの世の全ては娯楽なのでしょう

だったら私たちはそれを享受するのみです

どうか見ていてください

 

 

 

ジグソーパズル

 

この世はジグソーパズル

到底完成し得ないジグソーパズル

ひとつひとつ見出していけばすんなりはまる

そして少しずつ繋がっていく

大きく塊になるものもあれば

小さく点々としているものもある

やばて時が経てば知らずに繋がっていたりする

繋げたいと望めば望むほど見つからなかったりする

でもふとした時に別のところから繋がったりもする

繋がったと思ったところが実は似ている様で全く違うもので無理矢理に嵌め込んでいたりもする

それに後から気がつく

みながそれぞれに繋げようと努力する

そして地図のように広がって

少しずつ埋まっていく

すべてが埋まることはない

四端もない

皆が少しずつ埋めていく

完成形は神のみぞ知る

私たちには理解の範疇を超えている

でもその一端であれば皆が知ることができる

鮮やかで形も様々なこの世界

欠いているからこそ美しい

塵箱

 

今まで考えてきたことが今の自分の人格を形成している。

だが考えていることなど刻一刻と変わりゆくもの。先程まで考えていたことなどすぐに忘れ去られる。

ふいに思い出すような大事だと思えるものもあれば、そのまま忘れ去られるような他愛の無いものもある。

凡て過ぎ去り行くものではあるが、それが今の自分の凡てである。

忘れていることでさえも自分であるならば考えたことひとつひとつ忘れずに持ち続けたいと欲してしまうのは愚かであるだろう。

 

それなら、

私のこれはなんだろう。

今ここに書き溜めているものたちは。

ふいに読み返し悦に浸るだけの俗物となんら変わらない。

自信を高尚に感じたい欲塗れ。

私はお前らとは違うと。

心のどこかでは思っているんでしょう。

それでも初心に還る術として遺しておきたいと言い訳している。

虚しい命乞い。

そしてこの先も罪を重ねていく。