漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

大罪

 

 

私はいったいこの人生でどれほどの罪を犯してきただろうか

 

無神経な言葉

無知故の配慮のない言葉

未熟故の感情のままの言葉

思わず吐いて出た固定概念塗れの言葉

身を守るための嘘

熟考したが故の誤ち

 

どれも意図して犯したものじゃない

そんなつもりじゃなかったのに

なんて言い訳は通用しない

罪は罪だ

業務過失致死

私たちは生きている限りその罪を背負う

こんなこと言ったってそれを本当に意識する人はこの世にほとんどいないでしょう

気が付かぬ人は気楽に生き、あの世へ行ったら天国に行けるなどと安易に言う

気が付いた人は苦悩に苛まれ身を切るような思いをしながら生き延びて、天国へ行けるなどとは到底口にはしないでしょう

気が付いても、気が付かなくても、死んだら行き先は皆同じだ

何も無い混沌の世界

どれだけ憎んだ相手でも、これ以上ないほど愛した相手でも

皆境目もなく揺蕩うのみだ

罪を犯した者たちの末路

そう

でも私たちはそうやって生きている

些細な大罪を絶えず犯しながら生きている

そうして犯した罪たちを大切に大切に

慈しみながら生きていく

だから私たちは美しい

美しくも素晴らしい世界に生きている

 

私は生きている

無数些細な罪とひとつの重罪

一生背負って生きていく

何度訊かれようと誰が何と言おうと

これは私の罪だ

許されていいはずがない

その罪たちがこの先どれだけ私を傷つけようと

私は逃げない

痛くて痛くて堪らなくても甘んじて罰を受ける

それが罪を犯した私の責務だ

揺蕩うあの子にとってはどうでもいいこと

どれだけ私が罰を受けようと知ったこっちゃない

それでいい

私が決めたことだから

あの子には関係ない