漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

冒険家

 

 

浮世に飽きた

大して知りもしないくせに

もちろん何も成してはいない

いっそのこと出家でもしようか

俗世を離れてただ生きていたい

そう私は

ただ生きていたいだけなんだ

あの尊大なクラゲのように

人に見つけられようが見つけられなかろうが

ただ生きて漂っている

人間たちはどうやら騒いでいる

でもそんなのクラゲには関係ない

きっと見つけられていない生きものたちなんて

この世にたくさんいる

人間の理解の範疇ではない

あの揺らぐ海面のように

私はそうやって生きていたい

政治宗教経済道徳

もうどうでもいいよ

私は心地よく生きていたい

だってみんな自分を守るために

安易に人を傷つけるじゃないか

悪口なんて言いたくない

たとえ自ら自分の心を抉ろうと

私は血を流しながら生きていく

傷を背負って生きていく

わかってるよ

私はそんな立派な人間じゃない

私が感じる憤りはとても危険

私の求める理想を他人に押し付けようとしてる

ああ嫌だ

そうやってまた自己嫌悪に陥るんだ

内側へ内側へ入り込んでしまう

外側を排除して

心地いいものに囲まれて閉じこもる

きっとそれはとても楽しい

でもそんな生き方詰まらない

世界は広がらない

閉じていくにはまだ若すぎる

まだまだ経験すべきでしょう

良いことも嫌なことも

まだまだ足りない

私を創り上げるには足りない

私は冒険家

ならば堕ちたって傷ついたって

進むしかないよ

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