漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

生命線

電信柱が並んでいる

電線は繋がっている

どこまでもどこまでも

繋がって電気を届けている

漏れながらも必死で届けている

どこまでもどこまでも

人の住むところまで

 

決して洗練はされていない

けれどその立ち姿は美しい

必要なものを

必要な分だけ

余計なものは何ひとつない

頼りなく撓むその線も

漏らさずに届くようにと

強靭に結えられている

繋がって繋がって

たくさんの柱に支えられて

それは届けられる

人の営みあるところどこまでも

寂しくも頼り甲斐のあるその姿

きっと彼らがいなければ

どこへ行くにも覚束ないでしょう

彼らは繋がりの証

たとえ姿形が変わろうとも

その姿を見れば安心する

私たちの生活に溶け込み調和する

繋がりを証明している

時には道を照らし

時には温もりを与え

時には…

そう

私たちは彼らがいないと何もできない

彼らが倒れ繋がりが途絶えて仕舞えば

道は暗くただ凍えるしかないのです

私たちは無力

私は無力

布団に包まりながら思いを馳せるだけ

野生に戻るべきだと豪語したいだけ

いいえ

何もする気がないだけ

やっぱり薄情なやつ

いつかそのときまで

せいぜい自分の命は自分で守ります