漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

要求

 

 

こんな日が来るなんて

あなたの声を鬱陶しく思ってしまった

有り得ないことだと思っていた

今まで仕事や生活に擦り切れたときは

もちろんあの子の要求から逃避したときも

あなただけが救いだった

あなたの声を聞けば元気が出た

あなたさえいればよかった

それなのに

あの子がいなくなった今

孤独を享受している今

あなたじゃだめなときがある

そっとしておいて欲しくなる

孤独があれば自分で救えるもの

必要なことであるのはわかってる

でも必要なことしか言わない

詰め込まれた考え

わかる

よくわかるよ

でも今言わないでほしい

元気なときにちゃんと聞くから

堕落しきった今でも余裕がない

上手くいかないと苛立ってしまう

あーあ

あの子のときと同じじゃん

どうして?

どうしてなんだろう

怒るときなんてないと思っていたあの頃を不思議に思う

年のせいなの?

ストレスのせい?

仕事のせい?

わからない

みんながわからない

あなたのこともわからない

誰か助けてほしい

わかってるさ

わかりあえることなどないことくらい

私がいちばんよくわかってる

すべてを受け入れて生きてきたから

あなたがいると

私をいちばんにしてほしくなる

そうじゃないと悲しくなる

別にどうだっていいのに

でもやっぱり求めてしまう

求めすぎて疲れる

離れていたほうがいいのかな

これからどうなるんだろう

わからない

少し怖い

あなたがわからない

話してくれないんだもの

私はどうしたらいい?

教えてほしい

嫌だ

また同じことを繰り返すんじゃないか

怖い

また同じ過ちであなたを失ったら

私はもう生きていけない

私のいちばん愛したものを

自分の手で壊すなんて

自分の手で殺すなんて

あの子はもういないんだ

だって私が殺したから

もう私の犠牲になってほしくない

だから

教えてほしい

あなたの望むものを

私に望むことを

教えて

私をどうか生かして

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