漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

お話

ホームにて

両端から駆け寄る男女 抱きしめる寸前 女の方は横から入ってきた男に刺される 痛みはない、温かいものが下腹のあたりを流れていくのだけが感じられる 月経のとき、経血が陰部から流れ出ていくあの喪失感と似ている うかつだった 驚く恋人 刺されたのが私でよ…

執着

目を開けると、あなたがいた。 あなたは一瞬泣きそうな顔を見せてから私を強く抱き締めた。 なぜか右手がすごくじんじんする。 寝起きの頭でぼーっとしていたが、いつもと変わらないしあわせな時間で、静かにあなたのぬくもりを受け止めていた。 あなたのに…