漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

 

私は人に恵まれてきた。

両親、祖父母、兄弟、小学校、中学校、高校、大学の友人、先輩、後輩、先生、会社の同僚、先輩たち。

私の良いところを見つけて、褒めて、たくさん伸ばしてくれた。

皆さんのおかげで無駄な辛い思いをせず、乗り越えてこられた。

今の私はそれで成り立っている。

今の私は誇れる私。

今まで出会ってきた人たちには本当に感謝している。

皆さんがいなければ今の私はいない。

出会った人誰一人として私にとって無駄な人はいなかった。

感謝しても仕切れない。

こんなに素晴らしい人生はない。

こんなに楽しい人生はない。

そう思ってた。

でもどこか、いつ死んでもいいと思ってた。

明日死んでもいいと思いながら楽しい日々を過ごしていた。

私はできる人。

それは誇れること。

でもそれだけ。

できるものはできる。

できないものからはずっと逃げていた。

逃げてる自分が嫌だった。

でもそれを見てる人はいない。

できるところを褒められて嬉しい。

嬉しいけど、素直に喜べない。

逃げてるところがあるから。

それを隠しているわけでもないけど、人はできるところしか見ない。

少しは隠しているか。

見栄っ張りな私。

嫌な私。

逃げながら、楽しい日々を送る。

そのままでも十分幸せな人生。

いつ終わってもいい。

自分のだめなところはわかってる。

わかってるつもり。

つもりだった。

私のだめなところを気づかせてくれる人はいない。

そう気がつけず、過ごす日々。

なぜかわからないのに、死んでもいいと思う。

そんな日々。

あなたに出会った。

最初は何も思わなかった。

でも、次第に、女ではなく、人として私を見てくれている、好意を向けてくれているのがわかった。

心地がいい。

一緒にいたいと思った。

最初はそれだけだった。

私はまだ見栄っ張りだった。

あなたを好きになって追いつきたくて良い人間に見せようとした。

私にないものを埋めようとした。

でも違った。

あなたは私ができないのを見抜いてる。

埋めようとしたってそれは無理だ。

生きてきた人生が違う。

それからあなたは私のできないところをたくさん見つけた。

私が気づいていないだけで、できないことはたくさんあった。

いっぱい出てくる。

料理も、掃除も、生活習慣も、仕事も、趣味も、運動も、勉強も、人付き合いも、できると思ってたことが全然できていなかった。

できない。

そうか私はできていないのか。

不思議と気持ちは楽になった。

頑張らなくていい。

できない中で、できる分だけやればいい。

見せるものは何もない。

できることだけやればいい。

できなければできるようになればいい。

できるなんて慢心。

人生の慢心。

そんなのつまらない。

死にたくもなる。

それでも誇れる私はなくならない。

良いところはちゃんと残ってる。

私をもっと好きになる。

少しずつできるようになって、できるようになっても完全じゃなくて、またできないものが見つかって、そうやって生きていく。

私はどこまでできるようになれるのか。

人生の先が見えてきた。

ここで終わらせたくはない。

今の私をどこまで伸ばせるのか。

どこまで好きになれるのか。

楽しみで仕方ない。

死にたくない。

生きていたい。

できることならあなたと共に。

そして良いところをたくさん見つけてくれた皆さんと共に。

 


愛し方はまだわからない。

今までも間違えてきたことはたくさんある。

きっとこれからもたくさん間違える。

それでも。

あなたには、失敗する私を見ていてほしい。