漂う手紙

生活と思想。遺書とラブレター。時に真似事。

したたかにしなやかに

あの子がいなくなってから

この世界のすべての猫に通りすがりに愛を示すことさえできればいいと

そう考えていたけれど

やはり気の知れた隣人になってほしいとも思う

あの感覚は他にはない

どこにもない

あの子と私の関係

私が嫌で仕方がなかった

あの子への態度も

あれほどの苛立ちをそのままぶつけられたのもこの世にあの子しかいないと思えばいくらか救われる

ほんの慰めだけれど

それでもあの子は私を見ていた

ちゃんと見ていた

だからさ

こんな私を叱ってくれなきゃ

これから先も

嫌われていたっていい

恨まれていたっていい

だからお願い

あなたが叱ってくれなきゃ

私は私のことが嫌いになる

孤独ぶってばっかりなの

会いたいね

あなたに会いたい

いつでもあの頃の日々が続いていると錯覚しながらも

私の心と体はどうしようもなくこの喪失を受け入れている

そしてしたたかに幸せを求めている

あなたの死を無駄にはしないと

狡猾に利用して

私は幸せを獲得しようとしている

さあどうぞ

存分に私を地獄の淵へ落として

そしてあなたは天へ上る

いいラストシーンじゃない?

だからそれまではどうか許して

幸せに生きることを

そこで見ていて